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笹幸恵
2022.5.15 10:25日々の出来事

要点をまとめた文春、論点をずらした新潮

今週の週刊文春&週刊新潮(5/19号)
どちらも先日出版された『秋篠宮』について
取り上げている。

文春
ジャーナリスト江森敬治氏に語った本音
秋篠宮「肉声」の衝撃

文春では、皇室ジャーナリストの
「このタイミングで書籍が出るとは驚き」
とのコメントを載せつつ、本の紹介。

眞子さん圭さんの婚約延期について、秋篠宮さまが
「先のことは、誰にも分からない」と発言、
圭さんがパラリーガルであり、
生活が安定しないのではないかという世間の懸念に対し
「いまのお仕事が定職ですよ」
「パラリーガルのままでもよいですよ」
「二人が身の丈にあった生活をすればよいのでは」
と言っていたこと等、
著者の感想をなぞりながら辿っている。
そして最後には、
「秋篠宮さまの人となりや肉声を紹介し、
彼の真情を通して、国民が新しい時代の
皇室を考える契機となれば」
という、著者の思いで締めくくっている。

国民の興味をひくよう、きっちり要点を押さえた
という印象。
昨日のブログでも書いたように、
本書は小室夫妻の結婚に関する秋篠宮の声だけを
載せているわけではない。
が、最後に著者の出版意図をちゃんと載せている。

一方の新潮。
前代未聞の告白
「秋篠宮」が打ち明けた「小室問題」

こちらも江森氏のコメントを載せつつ、
小室夫妻に関する秋篠宮さまの声を
著書から引用している。
が、「身の丈にあった生活をすればよい」という
秋篠宮さまの発言に対して、
「ご存知の通り、いま二人が住むのは
世界一物価が高いマンハッタンである」
などと、例によって地の文でいちいち小室夫妻への
不信感を増幅させるようなひと言を付け加えている。

驚いたのは最後。
大嘗祭のあり方について、秋篠宮さまは
結論ありきの姿勢だった宮内庁に不満を漏らしている。
それを取り上げて、こう締めくくっているのだ。

「会見以外の場で、秋篠宮さまにかくも赤裸々に
ご胸中を吐露されてしまった宮内庁。
『衝撃の新刊』を、彼らはどのように
受け止めるのだろうか」

何を言っているのか。
宮内庁への不満は本書のごく一部で、
むしろこの本は全体を通して皇室報道のあり方を
問うている。新潮よ、そこはスルーか?
我先にとバッシングをしてきた新潮こそ、
本書をどのように受け止めるのか、
私は知りたい。

宮内庁へと批判の矛先を向けている場合じゃないだろう。
本書の論点をあえてずらしているとしか言いようがない。

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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